イレッサ タルセバ 間質性肺炎

タルセバとイレッサでの間質性肺炎発症率の違い

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タルセバはイレッサに比べると間質性肺炎が起こりにくい

 

EGF受容体の機能阻害分子標的医薬として市場に出ているものにはイレッサ(ゲフィチニブ)とタルセバ(エルロチニブ)があります。

 

 

日本では世界に先駆けてゲフィチニブが市場に出ました。

 

残念なことに日本人では欧米人に比較すると間質性肺炎を起こす頻度が数倍高く、使用の際には慎重にその兆候をつかむべきでした。

 

しかし、販売前の臨床実験では欧米人のデータが主体であったために、日本の市場に出てからその事実が明らかとなりました。

 

(日本では平等意識と国民皆保険制度のおかげで「有効で安全だと保障された薬以外は使いたくない」という人が非常に多いのが現実です。

 

 その結果、「副作用が重いことが予想される新薬の臨床治験は日本ではほとんどできない」というのが現実でもあります。)

 

 

一方、そのような日本市場でのトラブルを受けて、海外ではエルロチニブの方が先に市場に受け入れられる国の方が多かったようです。

 

その数年後にゲフィチニブも受け入れられる、それまではゲフィチニブが使いたければ日本まで買いに行けという状態でした。

 

 

さて、この二つの薬、どのような違いがあるのでしょうか?

 

 

 

まず、共通点から見てみますと、作用する場所はほぼ同じ、EGF受容体のチロシンキナーゼドメインです。

 

特に、この場所に機能獲得型の変異がある場合に奏効率が高くなります。

 

 

具体的にはEGFRをコードする遺伝子のうち、エクソン 19にコードされるDNAの欠失変異、あるいはエクソン 21にコードされる 858番目のロイシン→アルギニンへの点突然変異(L858R)がある場合です。

 

逆にここに変異がない患者さんの場合、殺細胞性の抗がん剤の組み合わせ(例えばカルボプラチンなどのプラチナ製剤を含む二剤併用療法)の方が奏効率が高くなります。

 

つまり、手術、あるいはバイオプシーでがん細胞にこれらの変異があるかどうかを確認することが重要になってきます。

 

 

 

異なる点を見てみますと、効果、毒性の強さ、あるいは使用用量の変更しやすさが挙げられます。

 

 

まず、効果ですが、EGF受容体への結合しやすさでいえば、タルセバの方がイレッサよりも少ない量で効果が出ます。

 

このためもあるのか、タルセバはEGF受容体に変異がない患者さんの肺がん治療にも効果を発揮しますが、イレッサではそれがほとんどありません。

 

 

毒性の強さでいうと、タルセバの方がイレッサよりも副作用は出やすいようです。

 

この理由の一つは、使用用量の制限にあります、なぜか知りませんが、イレッサでは最大有効量は750rであるのにもかかわらず、日本で認可されているのは250rまでです。

 

一方、タルセバは最大量の150rまでの使用が認可されています。

 

このため、イレッサは最も効果的とされる値まで投与することが不可能なのが現状なのです。

 

 

さらにタルセバにとって有利なのは、タルセバは150r製剤以外に100rや25rの錠剤も認可されています。

 

このために、皮疹や下痢などの副作用があって使用用量を減らしたい、というときに医師による投薬量の調節が可能です。

 

対して、イレッサは250r錠だけしかないので、そのような調節は効きません。

 

 

結果的に、タルセバを使いこなす医師が処方する場合、イレッサに比べて間質性肺炎を発症する率は低くなるようです。

 

 

 

 

(追加情報)

 

そのような観点から、タルセバの方が世界的に、日本においても主流になりつつあります。

 

実際にタルセバは2013年6月から肺がんの一次治療薬としても位置づけられるようになりました。

 

「切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌」

 

という二次治療的な選択肢しかなかったところに

 

「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺癌」

 

への効能・効果が認可されたことによります。

 

 

一方でイレッサは2012年からはそれまでの「手術不能又は再発非小細胞肺癌」の効能・効果が制限されて

 

「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」

 

と、やや適応が狭くなりました。

 

 

いずれの薬剤も「EGFR遺伝子変異陽性」が確認されていることが保険適用の前提となります。

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