イレッサ 間質性肺炎 予防

ステロイドの同時投与で間質性肺炎発症を防ぐ

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イレッサと同時にステロイドを投与して間質性肺炎を防ぐ

 

イレッサ(ゲフィチニブ)と同時にステロイドを投与して、致死的な副作用である間質性肺炎発生を防ぐ試みが行われています。

 

イレッサ投与でなぜ間質性肺炎が発生するのか?

 

そのひとつのメカニズムとして、IL-6産生について述べました。

 

 

EGF受容体の機能を阻害されたがん細胞は必死でIL-6を産生してIL-6受容体を刺激して生き延びようとする。

 

そのIL-6が癌細胞周囲の線維芽細胞を刺激してしまって線維化が進むのではないか、と。

 

だからゲフィチニブやエルロチニブを投与するときにIL-6受容体の機能阻害剤も投与したら、間質性肺炎の発生を効果的に予防できるのではないk、という研究です。

 

イレッサで間質性肺炎が起こるメカニズム

 

 

実際に「EGF受容体の機能阻害剤+IL-6受容体の機能阻害剤」という組み合わせ投与が行えるかどうか、それによる新たな副作用リスクはないのか、ということに関してはまだ検討の必要な課題です。

 

ですが、魅力的な発想ではあります。

 

今後の展開を待ちたいところですが、今現在肺がんで、イレッサを使い始めようか、でも副作用の間質性肺炎が心配だな、という患者さんにはそんな研究待ってられませんよね。

 

そこで、現時点で実際に臨床研究されている間質性肺炎発症予防方法について紹介します。

 

以下の症例報告です。

 

 

Oncol Lett. 2013 May;5(5):1599-1600. Epub 2013 Feb 27.

 

Gefitinib in combination with prednisolone to avoid interstitial lung disease during non-small cell lung cancer treatment: A case report.

 

Xue X, Xue Q, Liu Y, Pan L, Wang K, Zhang L, Wang N, Yang B, Wang J.
Source

 

Cadres Respiratory Diseases Department of Beijing Shijitan Hospital, Beijing 100038;

 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23761825

 

 

73歳のステージ3bの女性の非小細胞がん患者さんに抗がん剤による化学療法を施したけど有効でなかった。

 

EGF受容体の突然変異は認められなかったが、セカンドラインの治療としてゲフィチニブ(イレッサ)を投与したところ、効果が認められた。

 

そこで継続していたが、38日目から呼吸困難などの間質性肺炎を思わせる症状が出現、次第に増悪したのでゲフィチニブ投与をやめてメチルプレドニゾロンというステロイド薬の点滴で間質性肺炎を治療した。

 

 

間質性肺炎完治後、継続的に少量のプレドニゾロン内服(10r)を維持したままでゲフィチニブ投与を再開したところ、間質性肺炎は再発しなかった。

 

この投与は180日間継続され、腫瘍は著明に縮小し、胸水貯留などの症状も消えたが、その間、一度も間質性肺炎は再発しなかった。

 

 

 

ゲフィチニブ(イレッサ)投与の際に、同時にプレドニゾロンというステロイド剤を投与することで間質性肺疾患の発生を伴うことなく、うまく治療できたという報告です。

 

ステロイドの一つの作用は免疫反応の抑制にあります。

 

ここで期待されたのもやはりそれで、免疫反応の亢進が間質性肺炎発生を招くと考えられているので、それをあらかじめ少量のステロイド剤内服で抑えておくことでその発生が予防できるというものです。

 

 

残念ながらたった一例の症例報告で、本当に幅広く使える効果的な治療法なのかどうかは疑問ですが、プレドニゾロンであれば適応症は幅広いですし、そもそも間質性肺炎やそれを引き起こす膠原病の治療薬でもありますから、主治医の裁量で現場での使用は現実的かと思います。

 

 

とはいえ、長期にわたるイレッサ投与時にはやはり、裁量でどうこうという問題を超えて正しく行われるべきでしょう。

 

間質性肺炎発症予防目的でプレドニゾロンを投与することが保険診療として認可されるのが理想です。

 

保険審査の時にケチがついて保険が通らないとなると、イレッサの代金どころかその方の肺がん治療にかかわるすべてが病院側の全額負担です。

 

とんでもない額を病院側で持たなくてはならなくなりますから、現時点では病院事務としては絶対にやってほしくない裁量処方でしょうからね。

 

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